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BTIの配当利回りと成長戦略 ~配当の盾~

こんにちは!
最近寒くなってきたので、タバコに火をつけるのも一興だなと感じています。

今日は、私の主力株式であるBTIに関する話題を提供したいと思います。

 

 

ブリティッシュ・アメリカン・タバコを好む理由

多くの投資家がブリティッシュ・アメリカン・タバコに魅力を感じる最大の理由は、その配当利回りです。今年の株価上昇後でも、その利回りは8%と非常に高く、S&P500指数の1.2%や、消費財セクター全体の平均利回り(おおよそ2.5%:Consumer Staples Select Sector SPDR ETFを基準)をはるかに上回ります。

投資から可能な限り多くの収入を得たいと考える場合、ブリティッシュ・アメリカン・タバコは注目すべき消費財企業と言えるでしょう。さらに、同社は2018年に配当の支払いを四半期ごとに変更し、それ以来(英ポンドで)毎年配当額を増加させています。この株式からの収益に関して文句を言うのは難しいでしょう。

 

ブリティッシュ・アメリカン・タバコを敬遠する理由

ただし、この配当は同社の事業内容と切り離して考えるべきではありません。同社の主要な事業はたばこの販売ですが、その業績は芳しくありません。公平に見て、最近ではどのたばこメーカーも業績が振るわない状況です。しかし、この状況の背景を理解することは重要です。

2024年上半期、ブリティッシュ・アメリカン・タバコのたばこ販売量は前年同期比で6.8%減少しました。2023年には5.3%、2022年には5.1%の販売量減少を記録しており、このようなトレンドは健全なビジネスとは言えません。このため、同社の株価は2022年から2023年にかけて大幅に下落し、一時は時価総額が40%以上減少しました。

同社は他社と同様に、販売量の減少を価格の引き上げで補っています。その結果、2024年には利益が増加し、それに伴って株価も上昇しました。ニコチンの依存性から、喫煙者は比較的忠実な顧客層であることが背景にあります。しかし、価格の引き上げがさらなる販売量の減少を招く可能性が高いと考えられます。投資家にとっての大きな課題は、現在の高配当利回りが、需要が継続的に減少している事業に投資するリスクに見合うかどうかです。

 

ブリティッシュ・アメリカン・タバコへの懸念を深める理由

この問題を軽視する前に、2023年末に立ち返るべきです。同社はこの時、米国事業の会計処理方法を変更しました。それまで、米国ブランドは永続的な価値を持つと仮定していましたが、2023年末に、それらのブランド価値が25〜30年以内に消失すると結論づけました。この決定に基づき、230億ポンド(約294億ドル)の大規模な減損処理を実施しました。

この一時的な減損により、2023年の利益はひどい結果に見えましたが、より重要なのは、同社が米国のたばこ事業が最終的には消滅すると認めたという点です。グローバルな事業ポートフォリオを持つ同社ですが、最も重要な市場の一つが徐々に消失するという事実は、同社にとって明るい材料ではありません。

 

ブリティッシュ・アメリカン・タバコを支持するもう一つの理由

とはいえ、同社がこの問題を無視しているわけではありません。米国事業の会計処理方法を変更した事実は、この問題を認識していることを示しています。また、「ニューカテゴリー」と呼ばれる事業部門を拡大している点も注目に値します。この部門は、電子たばこや無煙たばこパウチなどを販売しています。この分野の業績はややばらつきがありますが、2024年上半期には無煙たばこパウチの販売量が50%増加しました。

2024年上半期において、この「ニューカテゴリー」事業は全収益の約16.5%を占めるに過ぎませんでした。しかし、同社がこの分野、特に成長している無煙たばこパウチのラインに注力していることは、長期的な可能性を示しています。これは、たばこ事業の継続的な衰退を補う道を見つけられるかもしれないという希望を投資家に与える材料となるでしょう。

 

ブリティッシュ・アメリカン・タバコに関する大きなトレードオフ

すべての投資決定は、購入対象のプラス面とマイナス面の両方を考慮する必要があります。ただし、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの場合、主要事業が長期的に下降トレンドにあるため、リスクは特に大きいと言えます。その高い配当利回りは魅力的ですが、この株を購入して放置することは推奨できません。むしろ、多くの保守的な配当収入投資家にとって、この株は避けるべきものかもしれません。そして、もし勇気を持ってブリティッシュ・アメリカン・タバコを保有する場合、たばこの販売量減少にどう対応するかについての進捗を注意深く見守る必要があります。それを補う手段が見つからなければ、現在の配当水準を長期的に維持するのは難しいでしょう。

 

タバコ市場の将来性~健康意識の高まりと市場縮小~

世界的に健康意識が高まる中、喫煙率の低下は加速しています。特に先進国では規制の強化や、若年層の喫煙率減少が顕著です。BATの米国市場の会計変更は、この現実を企業側も認識していることを示しています。
その一方で、たばこの価格引き上げや、ニコチン依存による固定客の存在が収益を一定程度支えています。ただし、価格引き上げには限界があり、販売量の減少ペースを完全に補うのは難しいでしょう。


「ニューカテゴリー」への期待

電子たばこや無煙たばこなどの新製品は、BATの未来を支える鍵となる可能性があります。特に、2024年上半期に50%増加した無煙たばこパウチの販売はポジティブな兆候です。
ただし、現在の収益全体に占める割合はまだ16.5%に過ぎず、この分野が主力となるまでには時間がかかる見込みです。また、規制が強化される可能性があるため、完全な安定収益源とするには不確実性が残ります。


株価への影響~高配当の魅力~

BATの8%という高配当利回りは、多くの投資家を引きつける理由となっています。現時点での収益性は価格の引き上げで確保されているため、短期的にはこの高配当が維持される可能性が高いです。
ただし、販売量減少や市場の縮小が続く中で、配当の持続可能性には長期的な疑問が残ります。


株価のリスクとポテンシャル

BATの株価は近年、大きく上下しました。2022~2023年の時価総額減少(40%以上)は、たばこ市場の構造的な問題を反映しています。一方、2024年の株価回復は、利益増加と投資家の「配当志向」に支えられたものです。
今後の株価は、「ニューカテゴリー」の成長速度と収益転換がカギを握ります。また、為替リスクや新興国市場の拡大余地も考慮すべき要因です。

 

まとめ

ブリティッシュ・アメリカン・タバコのような企業は、「衰退産業における配当の魅力」という特殊なポジションにあります。高配当を求める投資家にとっては短期的に魅力的な選択肢ですが、長期的には「ニューカテゴリー」などの新規事業の成否が株価と配当維持にとって決定的となるでしょう。

私自身、健康意識のジレンマを抱えつつも、たばこ産業の今後には引き続き注目しています。タバコ市場の収縮は不可避かもしれませんが、同時にそれを克服しようとする企業の動きには、投資や規制の観点で学べる点が多いと感じています。

 

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